Readings|一句鑑賞
まぶしさの鶴おちてくる北は紺
感覚の飛躍に満ちた一句である。
まず、「まぶしさの鶴」という把握が美しい。鶴そのものだけではなく、空の高みから降りてくる光までを見ている。そして、鶴の飛ぶさまを「おちてくる」という語で捉え、言い当てた。その結果、高い空から地上へ近づいてくるときの垂直的な運動がより強調され、まるで一塊になった光が空から降下してくるような印象を与える。
さらに「北は紺」の着地も見事だ。鶴のまぶしい白さと北空の紺色の対比により、冬の澄んだ空気感がありありと想起される。
宇多喜代子『りらの木』(1980年、草苑発行所)より。
2026年6月13日 弓木あき