弓木あき

Readings|一句鑑賞

明滅の滅を力に蛍飛ぶ

/正木浩一

「蛍」の本質を「滅」、つまり光の消えている時間に見ているという逆説が美しい。また、光が消えた次の瞬間にまた灯る蛍の様子を、「滅を力に」とする把握。ここには、光ることで飛ぶのではなく、消えることで飛ぶのだという、生への深い洞察がある。

「明滅」という熟語を解体したうえで、「滅」に生のエネルギーを見出し、さらに「蛍飛ぶ」という具体的な動作に着地させた手腕。

正木浩一『正木浩一句集』(1993年、深夜叢書社)より。

2026年6月9日 弓木あき